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2014年7月30日 (水)

ケーキ

卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ を読了。

作家であるデイヴィッドは、自伝的エッセイを書くことになったが、
自分の半生には魅力を感じず、レニングラード包囲網を生き延びた個性的な祖父に取材をすることにした。

祖父――レフは17才だった当時、母親と妹を地方へ疎開させ、一人で暮らしていた。
ある日単身で、凍死した状態で落下したドイツ兵を見つけて持ち物を奪ったが、
略奪の罪を犯したとして捕まってしまった。
死刑を待つばかりかと思ったら、美丈夫の脱走兵と一緒に大佐の下へ連れ出された。
二人に下された命令は、娘の結婚式のケーキの為に卵を1ダース探し出すことだった――

メタフィクションの形を取っていますが、
実際の作者の祖父母はアメリカ生まれらしいので実際の話ではなさそう、とか。
飢えの為に本に使われる糊ですら飴にして食べているような時世で、
ケーキの為に卵を探せというクエストは皮肉でシュールですね。
誇張や癖のない、淡々とした文章で結構暗澹とした戦時下の状況が語られています。
出会ったはったり屋の脱走兵と祖父のやりとりはいい具合にほっこりします。
馬鹿な男達のやりとりって感じで。

自分が知らない世界を見せてくれる、いい小説でした。

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